導入事例│株式会社J-WAVE様 2019.06.17
株式会社J-WAVE様
業務内容:東京都を放送対象地域としてFM放送をする特定地上基幹放送事業
導入製品:Orban社 OPTIMOD-FM 8700i、8600、8500 他
株式会社J-WAVE様はOrban OPTIMOD-FMプロセッサーをFM局として日本で初めて導入しました。現在は、東京スカイツリー送信所、六本木ヒルズ森タワー演奏所において、Orban FMプロセッサーを合計10台使用しています。
J-WAVE様は1988年より放送を開始した東京都を放送エリアとするFMラジオ放送局です。良質な音楽を選曲し、ユニークな内容のラジオ放送の他、世界中のアーティストや団体とコラボレーションした様々な音楽ライブ、イベントなどを通して、新しいカルチャーを発信しています。
今回は、編成局 編成部シニアプロデューサーの佐々木様と、放送技術局 放送技術部副部長の新井様にOrbanについてお話を伺うことが出来ました。
Q:Orbanを最初に導入したのはいつ頃ですか。その時の状況を教えてください。
導入したのは1988年末頃からです。プリエンファシス50μsに対応できるリミッターが当時なく、リニアリミッター、カッティング用リミッターなどを試しましたが、上手くいかず、Orbanをテストしてみたところ、平均変調度が3~6dB上がりました。実質的なエリアが広がり、SN比も物凄く良くなることがわかりました。また、当時原宿ではLA、SFO、NYCなど米国FMラジオ局のカセットテープが人気で、Orbanはそれに近い音が出ていて、CMやナレーションも太くなると評判になりました。変更申請が必要であったり、調整も手探りだったため、J-WAVEで導入してから広く普及するまでにはしばらく時間がかかったと思います。
Q:Orbanを導入した決め手はどのような点でしたか。
まず平均変調度を格段に上げたことと、占有帯域幅を守るということです。当時、米国ではより強い音圧を追求していく「Loudness War」があり、レギュレーションを守りながら、Loudness Warに対応していかなければならず、Orbanはそれに対応できたということです。実効的なサービスエリアが広がり、エリア内での音を太くすることができました。また、従来の日本のラジオとは異なる、ダイナミックな動作が可能なことも魅力でした。最後に、リスナーマーケティングが挙げられます。米国ではFM中心の音楽マーケットがあり、アーティスト自身がFMサウンドを認めている文化があります。米国のFMサウンドを知っている国内のリスナーのニーズに応え、日本でもFMサウンドを実現しようと試みました。現在ではスタジオのミクサーを始め、アーティスト、ミュージシャン、リスナーもOrbanサウンドに慣れていて、一番馴染みがあるということも使い続けている理由の一つです。
Q:OPTIMOD-FM 8700iを導入して頂きましたが、使い心地はいかがでしょうか。
音が良く、今までのモデルでは、音圧の高いプリセットではピアノや女性ボーカルなど倍音を多く含んだものは音源によってはひずんでしまっていましたが、それが解消されたことにとても驚いています。また、これまではかなり手間をかけてパラメータを追い込んでいましたが、8700iは気に入ったファクトリープリセットを選ぶだけでほぼそのまま実戦投入できてしまいます。Orbanの調整がよくわからないという局さんにこそ恩恵が大きいのではないでしょうか。
Q:radikoでもOrbanを使用されていますか。
使用しています。マスターアウトそのままの状態ですとPCやスマホ内のWAVファイルやストリーミングサービスとの音量差ができてしまいますので、できるだけ音量差や音質差をなくすため、Orbanでマスタリングしています。