Auracast(オーラキャスト)とは? 次世代Bluetoothオーディオ技術を徹底解説

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『Auracast™ ブロードキャストオーディオ』ってなに?
Auracast™(オーラキャスト)ブロードキャストオーディオは、Bluetooth Low Energy Audio(LE オーディオ)の新しい機能のひとつで、音声を無線で複数の受信機に同時配信できる技術です。これまでのBluetooth接続が1対1だったのに対し、この機能では「1対多」の音声共有が可能になります。
Bluetooth Low Energy Audio(LE オーディオ)とは?
Bluetooth Low Energy Audio(LEオーディオ)は、従来のBluetooth(Classic Audio)よりも低消費電力で高音質な音声伝送を可能にする新しい音声規格です。新コーデック「LC3」により、低ビットレートでもクリアな音質を実現し、補聴器対応や複数デバイスへの同時配信(Auracast™)といった新機能をサポートしています。
特長
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同時接続:ひとつの音源から、複数のイヤホンやスピーカー、補聴器などへ音声をリアルタイム配信
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気軽な接続:Auracast™対応イヤホンや補聴器で直接音声受信が可能
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省エネ設計:LE Audio技術に基づいており、省電力な音声配信を実現
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音質の向上:新しい音声圧縮技術(LC3コーデック)によって、高音質と低遅延の両立が可能
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簡単な参加方法:QRコードやスキャン操作によって手軽に音声放送へ参加できる

用途

例:空港、駅、商業施設など
騒がしい場所で流れる搭乗案内や遅延情報などの重要なアナウンスも、Auracast™を使えば自分のイヤホンや補聴器でクリアに聴き取ることができます。多言語対応も可能で、訪日外国人や難聴者支援にも有効です。

例:大学の教室、会議室、映画館、劇場など
さまざまなシーンで、Auracast™を通じて通訳音声や補聴音声を配信できます。例えば、多言語対応の国際会議や、難聴の方への情報保障にも有効です。

例:街頭テレビ、空港の待合室、バー、ジムなど
音を出せない場所にあるテレビでも、Auracast™対応ならスマホやイヤホンでその音声を聴くことができます。スポーツ中継やニュース番組など、自分が聴きたいチャンネルを選んで楽しめます。

例:美術館、博物館など
展示案内を、自分のスマホやイヤホンで聴けるようになります。さらに、多言語に対応している場合は、自分の母国語で解説を聴くこともできます。
『Auracast™』の仕組み

STEP 1
Auracast™ 送信機は、放送名、内容、コーデック設定などのオーディオの情報をAuracast™ アシスタントが取得できるようにする信号と、1つ以上の音声ストリーム(例:左右のステレオ音声など)を含むAuracast™ 放送を開始します。
STEP 2
Auracast™ アシスタントは、オーディオ情報の信号をスキャンし、ユーザーが参加するAuracast™ 放送を選べるように、ユーザーインターフェース(UI)を提供します。このUIは、Wi-Fiネットワークに接続する際の画面と似た仕組みです。
STEP 3
Auracast™ アシスタント上で放送を選択すると、Auracast™ 対応受信機(ヘッドホン、イヤホン、補聴器など)が放送の受信を開始します。
Auracast™ 放送への参加方法

Auracast™ 今後の可能性
現在、世界中の空港や各種施設、スマートフォンメーカー、オーディオ機器ブランドが、Auracast™を採用したサービスや製品を次々と発表しており、今後数年のうちにさまざまな場面で広く普及していくと予想されています。
活用例
🏛️公共・施設編
1. 空港/駅でのアナウンス
→ 周囲が騒がしくても、搭乗情報や遅延案内を自分のイヤホンでクリアに確認。多言語配信で外国人旅行者が自分の言語で発車案内などを聴ける。
2. 美術館/博物館の音声ガイドを個人のイヤホンで聴く
→ 展示作品の解説を配信し、来館者が自由に受信。多国籍な来場者が、それぞれの言語で展示の説明を受信可能。
3. 市役所の窓口案内音声の個別配信
→ 順番待ちの呼び出し音や案内を自分のイヤホンで静かに確認。
4. 図書館の館内放送をイヤホンで受信し静音化
→ 放送をスピーカーから流さずに来館者の端末に送信し静かな環境を保つ。
5. 観光案内所で多言語音声による観光情報提供
→ ガイドマップを見ながら、音声案内で名所の情報を受け取れる。
🎓 教育・学習編
6. 学校の授業で教師の声を生徒のイヤホンへ配信
→ 雑音の多い環境でも、生徒がクリアに教師の声を聞ける。
7. 特別支援学校での聴覚支援用途
→ 聴覚障がいのある児童に個別の音声支援を提供可能。
🎧 エンタメ・娯楽編
8. 映画館で複数言語の音声を配信(字幕の代替)
→ 字幕を読む必要なく、選んだ言語で音声をリアルタイム再生。
9. 劇場での同時通訳や解説音声の個別提供
→ 外国人観客や視覚障がい者に向けて、補助解説を別音声で提供。
10. コンサートで演奏中のリアルタイム音声配信
→ 座席が遠くても高音質のサウンドを楽しめる。
11. スポーツ観戦時の実況を観客のイヤホンに届ける
→ スタジアムで生実況を楽しみながら観戦できる。
12. テーマパークでアトラクション解説をイヤホンで聞ける
→ 待ち時間に安全説明やバックストーリーを多言語で配信。
13. ライブ会場で特別音声(アーティストのMCなど)を配信
→ 観客がイヤホンでバックステージ音声やMCトークを楽しめる。
🏥 医療・福祉編
14. 病院での診察待ち呼び出しを音声で個別通知
→ 呼び出しの音声を自分の端末で受け取ることでプライバシーと静音性を両立。
15. 高齢者施設での館内放送を補聴器へ配信
→ 補聴器に直接音声を届け、聞き取りにくさを解消。
16. 視覚障がい者への音声案内サポート
→ 音声ナビゲーションや環境説明をイヤホン経由で提供。
👔 ビジネス・会議編
17. 国際会議でのリアルタイム同時通訳
→ 参加者が各自の言語を選んで同時通訳を受信。
18. 複数会議室での発表の同時中継
→ 他会場の発表をAuracastでリアルタイム配信。
19. 研修セミナーで個別の講義音声を配信
→ 複数トラックでのセッション音声を分けて提供。
20. 企業見学ツアーでの解説音声を一斉配信
→ ガイドの声を騒音の多い現場でも聞き取りやすく。
21. 商談での秘匿音声配信(プレゼン内容など)
→ 外部に漏れずにクローズドな音声共有が可能。
Auracast™対応のAuri製品とは?

英国Ampetronic社のAuri(オウリ)は、主に補聴支援システム向けに設計されたAuracast™を利用したプロフェッショナルなワイヤレス音声送信システムです。講義や会議、公共施設などで音声をクリアに受信できるよう支援する製品です。
Auriを使用すれば、Auracast™オーディオを送信できる送信器に加え、Auracast™対応デバイスを持っていない方のための専用受信器も用意されているため、誰でも手軽にAuracast™システムを導入できます。
Auracast™とAmpetronic社AURI製品の関係
Auracast™:Bluetoothの一対多の音声配信技術。複数の受信機が同時に同じ音声を受け取れます。
Ampetronic Auri:Auracast™を送信するための実際のハードウェアであり、専用デバイスやAuracast™対応デバイスが音声を直接聴けるようにするシステムです。
つまり、Auracast™は音声配信の仕組みを提供し、AmpetronicのAuriはその仕組みを活用して音声を送信・受信するハードウェアという位置づけです。